第1章 救済【サンカク。‐case1‐】
そのまま、遊園地から出る。
帰り道を歩き始めても、会話は全く無い。
また、知り合いの話って事にして吐き出してくれるかと思っていたけど。
赤葦くんは、自分の中だけで処理しようとしているみたいで。
もうちょっと一緒に居たいけど、私が居ても邪魔なだけだと思う。
「…大鳥、まだ時間ある?」
「あ、大丈夫だよ。私の事は気にしない…で?」
てっきり、解散と言われると思ったから、すぐに離れる為の言葉を返したのに。
言われたのは、真逆の言葉だったから頭の中をハテナが飛び交った。
どっちにしろ、了解を含んだ返事をしているから、問題はない。
通り掛かった公園に入って、ベンチに並んで座った。
でも、赤葦くんは黙っている。
「…あの、赤葦くん?」
数分は待ったけど、生憎とそこまで遅くなれないから、話を促すように相手を呼んだ。
「…知り合いの話なんだけど。大鳥も、少しは気にしてくれてたみたいだから、最終的にどうなったか、話しておいた方が良いと思って。」
やっと、話が始まる。
やっぱり、諦めきれないから、相談役として私を利用し続ける。
それを口にするのを、迷っていたのかと思っていたけど。
「その知り合いは、現状に納得したみたいだよ。」
完全に諦める事を意味する言葉が出てきて、正直に驚いた。