第1章 救済【サンカク。‐case1‐】
元々、利害関係にあるからって言われてたし。
これが諦める為の儀式的なものならば、私が利用されるのは最後の筈。
そう思えば、傷付く事はない。
寧ろ、2人に見付かった時に、私が誘ったんだから偶然です、って冷静に対応をする事まで考えていた。
数分後、戻ってきた赤葦くんから、飲み物が手渡される。
さくらちゃん達を見掛けた事を言う気も無く、会話は無いまま休憩して。
少し体力が回復すると、乗り物には乗らずに遊園地内をブラブラ歩いていた。
広い園内で、簡単にさっきの2人に遭遇する事は無く、時間だけが過ぎていく。
もしも、このまま2人を見ずに本日が終了したら…。
赤葦くんは、さくらちゃんを諦められるのだろうか。
過った不安は、すぐに消え去った。
観覧車の方から歩いてくるカップル。
遠目から見ても分かるくらい背の高い男と、手を繋いでいる彼女。
さくらちゃん達だ。
赤葦くんは、2人をきっと探していた。
だから、私より先に気付いたんだろう。
2人から離れるように方向転換している。
接触するつもりは無いみたいだ。
従うように一緒に歩いて、2人から距離を取る。
赤葦くんも、ちょっと目立つ程度には背が高い人だったけど、幸いな事に気付かれずに済んだ。