第1章 救済【サンカク。‐case1‐】
これで、相談役として友人の顔をするのも終わりなんだなって。
考えただけで涙が出るのは、クラスメイトに戻りたくないから。
ずっと、恋愛相談されててもいい。
ちょっとだけでも、他の人達とは、違う存在でありたかった。
『…大鳥、泣いてる?』
鼻を啜ったから、音で気付かれてしまったみたいで。
「…なんか、勝手に涙…出てきちゃって…。」
上手い言い訳なんか思い浮かばなくて。
「もう、諦めちゃうなら…。相談役でも、いられないなって…。
どんな関係でも良いから、赤葦くんとお喋り出来る関係で、居たかったなって。」
思った事を正直に口に出す。
返ってきたのは…。
『…大鳥が、俺に対して持ってる感情が友情じゃないから、友人としては成立しない。確かに、俺がそう言ったね。
でも、考え直すよ。そんな事を言っていたら、恋愛感情があるのに、友人としてでも傍に居たい知り合いのやり方を否定する事になる。
これからも、友達として、たまに話でもしようか。』
自分と私を重ねて、普通の友達になってくれるって、嬉しいばかりの話。
それだけで涙が止まった私は、とても単純だ。
「有難う、赤葦くん。」
最後には、笑ってお礼が言えて、この日の電話は終了した。