第1章 救済【サンカク。‐case1‐】
しかも、赤葦くんがやっと席を立ったと思ったら、私の元へ来るし。
ご飯を食べながら話す内容は、やっぱり知り合いの話としての恋愛相談で。
その中で知ったのは、2人は付き合っていない事と…。
他の男の、存在。
所謂、3角関係と言うやつだった。
こんなに詳細まで話してきたのは、初めての事。
赤葦くんは、きっと、私が騙されたフリをしていると、気付いている。
だから、躊躇無く、本人達しか知らないような情報を吐いてくるんだ。
「…で、3人でデートしようって話になってるらしいんだけど。その知り合いも、譲ってやる気が無いから、どうしたら、もう1人の男を出し抜けると思う?」
それでも、まだ知り合いの話にしている。
これは、私に気を遣っているんじゃなくて。
私を、信用していないから、自分の事だって言わないだけなんじゃないかな。
辿り着いた結論に、胸を締め付けられた。
「…そんなの、私は知らないよ。その子が、さくらちゃんが喜ぶ事、よく知ってるのは赤葦くんの方でしょう?」
痛くて、苦しくて。
友人の立場を護る為の、騙されたフリを、もう継続出来ない。
泣くのは反則みたいなもんだって分かってるけど、涙が流れて。
それだけ、人を、私を、傷付ける事をしてきたんだって、気付いて欲しかった。