第1章 救済【サンカク。‐case1‐】
この日以来、赤葦くんからも、たまに話し掛けてくれるようになる。
ただ、内容は知り合いの事と称しての恋愛相談が多い。
なんで、私にそんな話ばかりするのかと思って聞いてみたら…。
「俺、普通に会話が出来る女子が少ないんだよ。」
だって。
まぁ、確かに赤葦くんって表情を読み取り辛いから、近寄りがたい感じするよね。
納得出来たから、友人の立場をキープする為に、嫌でも話は聞いたし。
ちゃんとアドバイスもしていた。
そのお陰なのか、赤葦くんとさくらちゃんは仲直りしたみたいで。
一緒に登校しているのを見掛ける。
なんとなく、さくらちゃんの方が気まずそうな顔をしている風に見えなくもないけど。
多分、付き合い始めたから照れてるだけだなって、自己完結して。
相談出来る友人としての役目も終わりかって、勝手に決め付けていた。
…なのに。
お昼休みの時間、さくらちゃんが2年の教室に来る事は無く。
それなら、赤葦くんが行くのかと思ったら、それも無く。
付き合い始めなら、少しでも一緒に居たいのが普通だと思っていたし。
お互いに依存し合っていた2人の仲直りは、イコール付き合い始めたとしか考えられなかったから、ただ驚いていた。