第2章 嫌な夢。
「犯人はどうなったんですか?」
今度は浩二君が尋ねた。
見たこともないような真剣な顔だった…。
「犯人は逃げたんやけど、助けてくれた人が
すぐに通報してくれて…捕まったって。
他にも痴漢の被害があって、その犯人の仕業
やったみたいで、解決はしたんやけど…。」
「あれから…毎日のように、夢を…。
犯人が捕まったって聞いても、私には実感が
ないから…。夢の中で、犯人は笑ってる。
今も…ずっと…もう…おかしくなりそう。」
プツン!!私の中で音がした。
堪忍袋の緒が切れた音。
先輩の手を、そっと握っていた浩二君を
突き飛ばし、私は…強く、強く、先輩の手を握った。
「先輩!!行きましょう。…ううん。
私を、連れて行って下さい!!
先輩を苦しめる、恐怖の夢の中に!!
…先輩が、前に進めるように、私に是非
お手伝いさせて下さい!!」
そんな私を…
突き飛ばされて、
しりもちを付いていた浩二君が、
笑いを堪えながら見つめていた。