第6章 夢の後。
私は、先輩を靴箱まで送り出し、
部室に戻ると、浩二君がまだダルそうに
帰り支度を済ませ、私の鞄を差し出した。
「送ってくわ。」
ビックリした。
一瞬止まってしまった…。
「えっ…?どしたん?」
「いや…お前も一応女の子なんやし…。」
あ~そっか…。
先輩の夢で、リアルな女子の危険を
目の当たりにしたから…か…
「そんな気ぃ使わんでええで。まだ明るいし、
一人で帰れるから。」
そう答えた私に、
「とにかく、今日はほんまに送ってく。
ほら。行くで。」
そう言って、手を繋がれた。
…何これ!!どうゆう事!!
あたふたしている私を無視して、
浩二君は手を離す事なく廊下を歩き出した。
「あの…手…。」
そんな言葉しか出てこない。
「先輩の話で、犯人が若い男って聞いた時、
なんかヤな予感がしたんよなぁ。
いくら夢とはいえ、女の子二人やし…。
…まぁ、守れて良かったわ。」
…って。
真っ直ぐ前を向いたまま言われたら…
気になってたまらなかった。
…どんな顔して言ったんよ…
守りたかったのって…どっち…?
浩二君はなんやかんやゆうても
優しいし、きっと二人ともなんやったんやろなぁ。
繋がれた手から、ドキドキが
伝わらないか…もっとドキドキした。
ガラにもなく、ちょっと切なかった。