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夢操り屋 凛 第三章

第2章 嫌な夢。


…とにかく落ち着け…私。
憧れの先輩を目の前にして、私は呪文のように
唱えていた。

緊張で思わず震えていた指が…
先輩の話を聞いて、怒りで震える事になる…

意を決したように…先輩は話始めた。

「誰にも言わないでね。思い出したくもないんやけど…
 …辛くて…恐くて…。…恐くて。」

今にも泣きだしそうな先輩の顔が、
恐怖の大きさを物語っていた。

「三か月くらい前に、痴漢にあったの。
 バイトの帰りで、たまたま遅くなってしまった日で、
 いつもの帰り慣れた道やったから、ちょっと暗いのが
 気持ち悪いな…くらいしか思ってなくて。」

「誰も居ない道で、突然現れた若い男に…
 後ろから、口をふさがれて…。
 声を出すな…って…。」

カタカタと…先輩の手が恐怖で震えてる。
とっさに握ろうとした先輩の手を…
浩二君が黙ったまま、手で包み込んだ。
……先を越されてしまった。

その役目、今日は女である私がする所やん!!
私が…握ってあげたかったのに…。

女性を…先輩をこんな風に脅すなんて…
女にしか分からない、男への恐怖。
絶対に許せない!!

「何か…されたんですか?」 

何とか冷静を装って、聞くことができた。

「…たまたま通りかかった人が、何してるんやって、
 助けてくれたから、何もされずに済んだんやけど…」

それだけでも…ホッとした。
 









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