第1章 綺麗な先輩。
コンコンッ…ドアをノックする音が響いた。
「はい。」
返事をしながら開けたドアの目の前に
立っていたのは…
誰もが知っている、憧れの的。
超美人の有名人。
三年生の『奥村 響子』先輩だった。
「お…奥村先輩!!」
声が裏返ってしまった。
しかも、ビックリのあまり、固まってしまった。
「えっ!奥村先輩?」
その隙に…
いつもより素早く、浩二君が出迎えていた。
「あっ。浩二くんだ。」
そうつぶやいた先輩は、ホッとしたように見えた。
(なぬ!浩二君!あんた、奥村先輩とまで
しゃべれる程、顔が広いんか!!)
まだ動けないでいた私を横目に、
浩二君は先輩を招き入れていた。
「あなた達の噂を耳にして。あの…、
相談に乗ってもらいたい事があって…。」
暗い表情で、先輩がつぶやいた。
(えっ?何?まさか…先輩が…
憧れの奥村先輩が…相談事…??)
こんな見た目完璧!!
性格もいいって評判のお方が
こんな私めに相談事なんて…
ありえないんやけど!!!
…どうやら、今日一日。
私の挙動不審は続くのかもしれない。
…必死に笑いを堪える浩二君の姿が
目の前にあった。