第1章 知られざる大罪
イヴェレット
「…ん?」
私は再度歩き出そうとしたが、後ろから女の子に手を掴まれて止められた。
「あのっ、何かお礼をさせて下さいませんか?」
イヴェレット
「律儀な子だねぇ。大した事はしてないし、礼など不要だよ」
女の子の隣で、豚さんが首を傾げた。
「これからどっか行くのか?」
イヴェレット
「酒が飲みたくてね。酒屋を探してるのさ」
私がそう答えると、女の子と豚くんは顔を見合わせる。
イヴェレット
「じゃあね…」
「あの、酒屋をお探しでしたら、是非〈豚の帽子〉亭にいらして下さい」
「美味い酒揃ってるぜ!飯はマズいけどな」
女の子と豚くんの言葉に、私は足を止めて振り返った。
イヴェレット
「その酒屋…ワインはあるかい?」