第1章 知られざる大罪
イヴェレット
「血が欲しくて欲しくて堪らない…」
私に向けて手を伸ばし…
エリザベス
「──ッ」
ポンッ
──私の頭を軽く叩いた。
エリザベス
「…え?」
イヴェレット
「ダメじゃないか王女様、こういう時は大声で叫ばないと」
咄嗟に閉じていた目を開けると、既にイヴェレット様の表情から冷たさは消えています。
エリザベス
「?えっと…」
イヴェレット
「あぁ、ちょっと揶揄っただけさ…怖がらせて悪かったね」
か、からかわれた…?
イヴェレット
「貴女が聞いた薬だが、それは私の“血を吸いたい”という欲求を抑える為のものなんだよ。エドウィンが作ってくれたものでね」
エリザベス
「その薬があれば、イヴェレット様は血を吸わずに済むのですか…?」
誰かがイヴェレット様に血を吸われる事も無い…?
イヴェレット
「そう!まったくエドは、便利なものを作ってくれた」