第1章 チェックメイトの前夜(徳川家康・こじさくコラボ)
ぎぎ、と音が鳴りそうな不自然さで声の方…
襖が開いたままの廊下の方へと、首だけ向き直る。
少し頬を染め…しかし驚くほど優しい笑顔の、秀吉さんと目が合う。
腕の中のウリちゃんを撫でながら、また秀吉さんがゆっくりと口を開くのを見ていられず。
先手必勝、とばかりに口走る。
「ご、誤解しないで下さいね!これは、その、」
「家康、千花…!お前達、やっとくっついたんだな!仲の良いのはいい事だが、その…襖くらいは閉めろよ」
恥ずかしさに開いた口が塞がらないまま、秀吉さんの言葉を反芻する。
お前達?やっと?
――だって、これは私の片思いで、
「…そうですよ、秀吉さん。だから、申し訳無いんですけどさっさとそこ閉めてくれます?」
家康がぐっと私の腰を掴み。
そして空いた方の手をひらひらと秀吉さんに向かい振る。
秀吉さんはその態度に苦笑しながら、はいはい、と襖をゆっくり閉めた…
「あの、家康、」
恥ずかしくて顔も上げられない。
おまけに、腰と背中に回された家康の腕のせいで身動きも取れない。
心臓が爆発しそうなほど早鐘を打ち、足音の正体なんて、もう思考回路の隅に追いやられてしまった。
「千花、こんな切っ掛けで言うのも癪だけど。
…聞いてくれる」