• テキストサイズ

【イケメン戦国】友の会別邸(短編集)

第1章 チェックメイトの前夜(徳川家康・こじさくコラボ)





不自然な沈黙に誘われて恐る恐る家康へ顔を向ける。
でも視線はそっぽを向いて、ぴしゃりと閉じられた襖を見つめたまま。
息苦しい沈黙は次に続く言葉への期待の前触れ。
胸の高鳴りをどうにか押し込めて
こくりと生唾を飲み込んだ。

「ねえ、こっち向いて」
言葉に誘われぎこちなく合わせた視線の先で、彼は真っ直ぐな眼差しで私を捉え、燭台の明かりを映してゆらゆらと輝いている
ようやく顔を向けてくれたと言わんばかりに微笑まれては、お腹に力が入って呼吸が一瞬荒くなる
微笑むなんてずるいよ
魅了されて絡まって、もう視線をそらせない

「……朝、起こしてくれる?」
好きと言ってくれるとばかり思っていた私の期待を思い切り裏切られた格好に、
「えっ?起こすの?」頓狂な声を上げてしまう私を

「だから、……あーもぅ」
痺れを切らせたようにグイッと抱き寄せられ
一瞬で鼻先が触れそうな距離まで詰まる

「わからないふり、しないで。……誤解ならとことん嫌がりなよ」
優しく頬を撫でた手は首へ回り、優しく引き寄せられる
嫌がりなよなんて、優しく囁かれて。
抵抗する気もないのを見透かされてる
ほんと、憎らしいんだ

互いの気持ちを言葉にしないまま重なっていた唇はいつの間にか夢中になって
「千花の気持ちを教えてくれたら、もっといいことしてあげる」
呼吸を乱し彼は言う。
余裕を奪われているのは私だけじゃなかったみたい
「家康、好き、大好き……家康は?……私のこと好き?」
夢の中にいるみたいで、私は無我夢中で彼の首に絡みつく

「そんなの、決まってるでしょ……千花が好きだよ」

じゃなきゃ、こんなことしないから。
と付け加えて囁かれたら
言い返す言葉もない。

明日、ちゃんと起こしてあげるからね。
だから、もっといいこと、たくさんしよ。



おしまい。



/ 57ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp