第5章 縁は異なもの味なもの
「また会えたね」
表情は変わらないけど、佐助はきっと笑顔なんだろなってことが雰囲気でわかる。
「佐助」
確かめるようにもう一度名前を呼んでみる。
「なんだい?」
「私・・・」
「千花がここへ来れたってことは、一之助さんに会えたんだね。良かった」
佐助が私の隣に腰を下ろし、一人納得したようにそう呟くと、木の枝が揺れてすごい早さで何かが動き私の肩へととんでくる。
「クナイ!久しぶりだね、元気だった」
チチッと返事をするように鳴くと、愛らしい顔を見せフサフサの尻尾で挨拶するように私の頬を撫でてくれた。一度しか会ってないはずだけど、佐助とクナイに会えたことがひどく懐かしい気がして、胸の奥がジワジワと温かくなる。
ー 佐助達に会えたってことは、政宗にも会えるのかもしれない・・・でも、でも、私は・・・
嬉しい気持ちの奥底で、ずっと押さえ込んでいた思いが顔を出す。胸の中に広がる温かさに、チクリと針を刺したように黒い思いが静かに痛みを運んできて、私はそっと足先に目線を落とす。