第5章 縁は異なもの味なもの
「 伊達政宗 」
「へっ?」
「俺の名だ」
「あぁ、お名前ですね。だて・・・まさむね・・・」
「そうだ」
「独眼竜・・・」
「それも俺だ」
伊達政宗。イケメンはそう名乗った。教科書で知る名前の人とは違う気がしたけど、夢ならいいか。イケメンだし、夢だもん。
「凄い夢見てるのかな、私」
「夢?まあ、それでもいいか。お前がそう思うなら、今はまだな」
「お前?失礼な。私の名前は・・・」
名前を言おうとした私の唇に、遮るように彼の伸ばした人指し指が触れる。
「千花だろ」
「えっ?何で・・・」
「何でだろうな?」
そう言うとニヤリと笑い、私の唇に触れていた指を離すと、そのまま自分の唇 にあて軽く噛んで見せる。
ナゼだろう、イケメンだからなのか嫌味も気持ち悪さも感じなかった。ただゾクリとする色気に飲み込まれた気がした。
「千花。お前がどんな姿でどんな所にいても、俺はお前を見つけだす。お前が俺を選んだように、俺はお前を手に入れる」
「・・・は・・・い」
何だかとんでもないこと言われているはずなのに、私の口から出た言葉はそれだった。