第5章 縁は異なもの味なもの
パタン、とドアが閉まって、私は薄暗い部屋のベッドに腰掛ける。
帰りますってなぜか言えなかった。
私は帰りたい?
もしそうだとして、「帰りたいです」ってドアを開けて今更言える?
風もないのに突然ゆるりと渦を巻く一筋の煙をじっと見つめながら。
ーううん、佐助の好意を無下にできない
意を決して靴を脱ぎ、ベッドに横になる。
ーなんていい香りなんだろう。
深呼吸をして天井を見つめる。
香りに抱かれしばらくすると、瞼が重くなってきて自然と瞳を閉じる
ーでも、いくらかかるんだろ……きいとけば…よか、った
そして私は夢に落ちた