第3章 変革
「ふっ……んんっ……」
電気は逃げられないように私の後頭部を固定し、深く深く口付ける。初めは無茶苦茶に口内を暴れ回っていた彼の舌も、私の身体から力が抜けたと分かると途端にその動きを変え、緩急をつけて責め立ててきた。腰が砕けてその場にへたり込む。やっとの思いで離れた唇は、最早どちらのものか分からない唾液で光っていた。
「やっぱいいわ、女子高生」
満足そうに細められた双眸が、息も絶え絶えの私を見下ろす。彼の危ない発言を、無法地帯と化した此処において咎めるものなど何も無い。
「何でっ……こんな事っ……」
呼吸の合間合間に紡いだ言葉を電気は鼻で笑った。
「意味なんてねーよ?ただヤりたいからヤるだけ」
彼はシャワーからお湯を出しながら淡々と答える。
「今まではOLとかが多かったけど、なーんか味気ねぇんだよなぁ。んで、今回は正当な手段でJK抱けるって聞いたからこうなった訳よ」
彼の口振りからして、これまで何度も女性を抱いてきたのだろう。ここにきて、記憶に関する個性持ちの存在や出久の『いつも助かっている』という発言が繋がった。
つまり、彼らはその能力を使ってこれまで幾人もの女性を強姦してきたのだ。
「……最低」
「何で?あのお姉さん達はすっげー悦んでたぜ?」
私は自分の耳を疑った。確かに、彼らに抱かれたいと思う女性も多いだろうが、こんな仕打ちを受けてまでもその状況を甘受するなんて私には出来ない。
世の中には色んな人がいると分かっているつもりだが、全員が全員彼らを受け入れる訳では無い。
……もしかして、一つの可能性として、彼らがそういう人間を選別していたという事は考えられないだろうか。だとすれば、彼らの異常な行動がニュースにならないのも合点がいく。初めから逃げる意志が無いのであれば問題になる事もないからだ。
私の場合、それが『家族に対する脅し』だった、それだけだ。何て理知的な犯行だろう。
「まあ、そういう事よ」
全てを理解して固まっている私に電気がお湯を浴びせる。突然温かいものが身体にかかってビクついたが、何処かホッとしてしまい緊張が緩んだ。その隙を見て電気が私を抱えてお風呂椅子に座らせる。