第12章 叛乱の終焉に
「こうなったら一連托生だよ。責任取ってもらわなきゃね」
まるで不始末を仕出かした連れ合いにでも言うように、彼は目を光らせる。組織同士を切り離せないのなら、相互の利益を最大化するしか、道はない。
「其処まで織り込み済みだよ。君たちの資金力は此方としても手放す訳にはいかないし、財閥を取り込む影響を、中也くんも理解している筈だ」
森の判断に、彼は顎に手を当てて首を捻った。些か芝居がかった仕草で、それはどうかなと両手の平を上げる。
「彼の行動原理からして、理解していても、手が先に出る癖があるから困ってるんだよ。或れ、何とかならない?これから先は絶対翠を皮切りに巻き込まれるんだ。然うなる未来が見える」
上げた両手で其の儘、頭を抱える彼に、森は笑った。真逆、其れを愚痴る為に、此処までやってきたのかと思うと、彼も中々直情的で子どもの頃から変わっていないのかもしれないと、昔のように、森は彼の頭を撫でながら、苦笑してみせた。
「できるだけ穏便に巻き込むから、悲観することでもないよ。ほら、顔を上げなさい」
もう町医者ではないことと、彼自身の身体の弱さを自愛するよう指摘して、森は彼を追い出した。森が考える以上に、彼等に懐かれているのかも知れず、組織の首領として距離感を思い直さなければと眉根を寄せた。