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【文豪ストレイドッグス】心の重力

第12章 叛乱の終焉に


中也から半数鎮圧の連絡が入った時、偶然にも森の元を、尾崎財閥関連企業の社長である、翠の兄が訪ねていた。

「助かったよ。翠が腑抜けのままじゃ、お家取り潰しだったね。流石、人の使い方が上手な森医師にお願いして良かった」

森は笑って称賛を受け流す。尾崎家の口車は天下一品だ。此のおだてにまんまと乗せられて、水面下であわや組織の鞍替え騒ぎが起こることも少なくない。末端の構成員を尾崎の人間に関わらせると、碌なことがないとはよく云ったものだ。

特に翠と其の兄に至っては顕著で、それも意図的に人心を操ろうと画策を始めるので、組織としては油断ならない。一方で、方針が同じであれば、十分に理解ある支援者となる為、基本的には幹部以上で対応せざるを得ないが、気まぐれに尋ねられると、遣る瀬もない。

「私は何もしていないよ」

呆れながらも、森は話に付き合う。森の言葉に彼は口角を上げるが、其の目は事実を見る為に確りと開かれていた。

「随分と雁字搦めにしてくれたね。此れで翠はポートマフィアと手を切れなくなった」

何もしていないとは言い得て妙な逃げ口上だ。確かに森は静観していたに過ぎないが、其れは物事が最適に進んでいると判断した結果論である。
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