第4章 Interlude
「いつもいつも、は俺の方を見ない。
いつだって、誰か別のヤツが邪魔をする…こんなに、俺はの事が、好きなのに」
想像とは違う言葉に、驚きながら。
身を離すと、ようやく真っ直ぐにシンの顔が見えた。
こちらをじっと見る目の冷たさ…
でも、それ以上に感じられる悲しさ、切なさ。
思わず魅入られたように、覗き込む。
「…なーんて、ね。そんな目で見ないでよ、冗談だから」
シンはそう言うと、長いまつげをぱさり、と伏せ。
また家の方へと向き直り、私の手を引き歩き出す。
ほんの少しよろめきながら、そんな突然の動きに必死に足を動かし…落ち着いたところで、考えがまとまらないまま漸く口を開いた。
「シン、あの…私も好きよ」
「うん、知ってる。ありがとう、」
すこし前を歩くシンの表情はまた読み取れなくなったけれど、声色は随分と明るい。
機嫌が直ったのかな、とほっとしながら、言葉の意味を反芻する…
好きなのに、ってなんだろう。
だって、大事なだいじな、かけがえのない家族なんだから、好きに決まってるのに。
シンは好き、と何を天秤にかけているんだろう…?
「…そう、は…何も、悪くないんだ」
「え?何か言った?シン」
上手く聞き取れなくて、聞き返した私に。
別に何も、と答えながら振り返ったシンの目は、またゾッとするほど冷たかった――