第4章 Interlude
ほっ、と息をつきながら、そういえば、と。
「…今日は迎えに来てくれてないのね」
「え?」
「アラタ。
最近、シンを追いかけるみたいに一緒に来てくれてたのに」
「…そういえば、最近アラタは戻ってないよ。
何か『仕事』でも始めたんじゃない?」
…仕事。
子供は大きくなったら自立しないといけない、分かってはいるけれど…スラム出身の人間がつける仕事なんて、限られている。
どうしてもほの暗い想像が頭をよぎって、黙り込む私の手を、シンがまたギュッ、と握った。
慰めてくれようとするには少し痛い程の強さに顔を顰め、シンを見上げる。
月を背に立つ表情が読めなくて、不安になりながら。
恐る恐る向き合うと、シンに繋いだままの手を引かれ、抱き締められた。
私の肩口になだれた、さらさらの髪を何ともなしに撫でる…
昔から、そう。
泣き虫で弱虫なシンを私が抱き締め、慰める。
身体の大きさが逆転しても、その関係性は変わらない――そんな気持ちで。
どうしたのと、いつも通り声をかけるつもりで口を開く…
「は、いつもそうだ」
「…え?」