• テキストサイズ

トッカータとフーガ(怪盗さんと刑事さん)

第3章 【閑話休題】Trio





刑事さんにそう言ったシンは、またあの目をしている。
ひんやりと冷たく、刺さりそうな目――
思わずビクリ、と立ち止まる私に気づいて、こちらを振り向き微笑む、その目も笑っていないように見えてしまう。



「いいえ、通りすがりの事ですから。

…それより、その手。
どうされましたか?随分痛々しいですが」



刑事さんがそう言って初めて、私はシンの右手にぐるぐると巻かれた包帯に気付いた。




「本当だ…シン、どうしたの!?」
「…あぁ、これは…今朝、朝食の準備をしていてつい、ざっくりと。

でも、見た目ほど痛くないから…」



「ふふ、そうなんですね、俺はてっきり…

今朝が、ビンのゴミ回収の日だったから。
その処理中に切ってしまわれたのかな、と思いまして」




刑事さんが飲みかけの紙カップを持ったまま、すっと立ち上がった。



「じゃあ、ちゃん。

今日の珈琲も美味しかったよー」


「あ、ありがとうございました…!」




/ 52ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp