第3章 【閑話休題】Trio
「な、な、何言ってっ…」
ただアパートメントの前まで送ってもらっただけです、なんて…送られた事実がある以上、ファンの皆さんの前では何のフォローにもならない気がして口篭る。
刑事さんはにやり、と口元を歪め、優雅に珈琲に口をつけた。
こ、この人わざとっ…!!
「、おはよう」
聞き覚えのある声に、わなわなと震えていた目線を上げる。
何処かほっとする、その声――
「シン!おはよう…って、サングラスは!?」
「あぁ、いいんだ。今日はこの辺りで仕事だから」
私の自慢の幼馴染はそう言うと、多忙だろうに列の一番後ろに並んだ。
シンの登場に、空気が変わったのを見計らって、一気に注文をこなしていく。
そして漸く、シンの順番が回ってきた。
いつも通りの、甘めのキャラメルマキアートを注文を聞く前に出す。
シンは有難う、と微笑むと、何故かカフェスペースとして置いてあるテーブル…そこで長い脚を組んでいる、刑事さんの向かいに座った。
そこで一旦、お客様の波も引き。
シンはニュースを見たと言っていた…刑事さんの事を知っている筈だ。
気になって、二人の元へ駆け寄る。
「昨晩は、を送って下さったそうですね。
さっき聞こえてきました…
夜遅くに出歩くのはやめておけって、いつも言ってるんですよ。
有難うございます」