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神殺し事件が起き日からーー

第2章 オーケアノスの神殿


ゴンッ 船が神殿の岸に当たる。
「お前さん等、着いたぞ。俺様は船に残るから…アール、頼んだぞ…」おじさんはそう言って私達を見送ってくれた。
私とアールは神殿の方へ歩きだした。

「ヒヨッコ君さ~おっちゃんと一緒に船にいた方がいいんじゃない?」歩きながら私の顔を見てきた。
「ううん。私は《神殺し》をどうやっているかこの目で確かめたいの!」そう言って私はアールの少し先を歩いた…本当はアールのあの笑がものすごく怖い、それに…血を見るのは苦手だ…そう思いながらも私は足を止めなかった。「ヒヨッコ!前!」アールの声に私はハッとして前を見た…そこにあったのは神殿の扉だー遠くで見ていた時は少し青色混じりの色をしていたのに近くで見るととても綺麗な白色をしている。

バンッ アールが扉を蹴り破った音が神殿に響き渡った。「行くぞ、ヒヨッコ」そう言って来たアールの方に目を向けるて私は…アールはいつの間にマントと仮面を付けたんだろ…そんな事に気づいた。

階段を上がって行くとある部屋に私とアールは入った。
「なに?この部屋」私は部屋の中を見渡しながらアールに聞いた。
「この部屋は〈オーケアノス〉の娘〈エーレクトラー〉の部屋だね。早くここを出よう。」そう言ってアールはこの部屋の出口に向かった。

〈エーレクトラー、オーケアノスとテーテュースの娘。
タウマースの妻となり、虹の女神イーリスと、ハルピュイアを産んだ。〉

バタッ 部屋を出ようとした時だ、突然部屋の扉が閉まった、「な、なに?!」私は少し怯えながらアールを見た…仮面をしているから表情は分からない、でも…間違いなくアールはあの笑をしている…私はそう思っていた。
「ヒヨッコ、あの柱の後ろに早く隠れな!」アールは柱を指さしながら私に指示してきた、「わ、分かった」私はすぐ柱の方に走った。
私が柱の後ろに隠れながらアールの方を見ていると何処からか若い女の声がした…
「コレ以上は行かせない!おじいちゃんに近寄らせない!」声のした方に目を向けるとそこに居たのは…
「これはこれは、〈エーレクトラー〉の娘〈イーリス、虹の女神〉じゃないか。」アールの笑い混じりの声がした。

〈イーリス、ヘーシオドスの『神統記』によれば、タウマースとオーケアノスの娘エーレクトラーの娘でハルピュイアの姉。〉

「ボクを止めに来たのかい?てっきり〈エーレクトラー〉かと思ったよ」
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