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神殺し事件が起き日からーー

第2章 オーケアノスの神殿


アールの視線の先には〈タウマース〉と〈オーケアノス〉の娘〈エーレクトラー〉の子〈ハルピュイア〉が飛んでいた。
「おっちゃん!」アールが突然舵を取っているおじさんを呼んでこう言った「舵は任せるぞ!それとヒヨッコ今すぐおっちゃんの近くにいけ!」
「ハッ、アール誰にものを言っておる!若いの、早くこっちに非難せい」おじさんとアールの言葉を理解し私はおじさんの方に走った。

キャーキャー 〈ハルピュイア〉が五月蝿く鳴いている、その鳴き声が止まり掠れた声が喋り始める…「〈死神、アール〉お前をコレ以上神殿に近づける訳には行かん。今ここで妾がお前を殺してやる!」その掠れた声の主は〈ハルピュイア〉だー。

《ハルピュイア…老婆のような顔、禿鷲の羽根、鷲の爪を持つ。食欲が旺盛で、食糧を見ると意地汚く貪り食う上、食い散らかした残飯や残った食糧の上に汚物を撒き散らかして去っていくという、この上なく不潔で下品な怪物である》

その声に続けるようにアールが喋り出す。
「キャーキャー五月蝿いおばさんだな~耳が痛いよ」まるで相手を煽る様な口振りで更にこう言った…
「ボクをここで…殺す?フッ…笑えるね~下品極まりないおばさんが?アハハハ…ハァ~殺れるもんなら殺ってみな」アールのその言葉に〈ハルピュイア〉は…
「こんのぉ…クソガキがぁぁ!!」激怒しアールの方に爪を立て襲いかかった。
「アール!危ない!」その光景を目にした私はいてもたってもいられず叫んだー。

「ギャァ!」短い悲鳴がした…その声の主は間違いなく〈ハルピュイア〉の悲鳴だ。

ザシュッグサッ 悲鳴の後に何かを切るような音が耳に入った…アール?
私はアールと〈ハルピュイア〉がいるであろう船の先端に向かった、「ま、待ちやがれ若いの!今はーー。」おじさんのその言葉には耳も貸さないで走った…「ウッ…」船の先端に近づいた時私は手で鼻と口を覆った…血生臭い…私は吐き気を抑えながらアールの元に向かった。

「アー…」アールの名前を呼ぼうとして私は言葉を呑んだ…目の前に広がっている光景があまりにも残酷だったからだ…〈ハルピュイア〉の翼と頭を手にしながら不気味な笑顔を浮かべているアールがそこには居たからだーー。
「ヒヨッコ…」私に気づいたのかいつもの様な笑顔でこちらに近くアール…顔と身につけているレザースーツは〈ハルピュイア〉の返り血で赤黒くなっている。
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