• テキストサイズ

神殺し事件が起き日からーー

第6章 別れ…


「まだだ…」〈オネイロス〉が手を伸ばしてまるでボタンの様なものを掴む。
「貴様の幕を…これで降ろしてやる!」カチッ 〈オネイロス〉がボタンを押した。
ドガ-ンッ! 大きな音と共に神殿が揺れ始める。
「チッ…ボムか…」アールは〈オネイロス〉に刺さっている鎌を即座に抜いて影にしまい私を担いで走ってる。
「ちょっ!アール!そっちは階段ないですよ!」そう、アールの走っている方は神殿のベランダの方なのだ。
「ヒヨッコ…ボクが今から言うことしっかり聞けよ…」アールの寂しそうな声が耳に入る。
「え…アール…今、なんて…?」私はアールの言葉に耳を疑った。
「元気でな!」アールは私をベランダから放り投げた。

「アールゥゥ!!」私の両手はアールを掴もうとしてた…でも、掴めず私は落ちていった。

ガラガラ ドシャ-ンッ! 私が落ちていく数秒後神殿は完全に壊れ落ちた。
私の身体は地面いっぱいに広がる雪の上に叩きつけられた。
…嘘でしょ、アール…不老不死なんでしょ…?
私の身体は自然と立ち上がり壊れた神殿の方へと進んで行った。

「アール!アールゥゥ!」私は瓦礫の中を歩みながらアールを探していた。
…アール…なんで、まだ…まだ、 〈ゼウス〉を殺めてないじゃないですか…目的を…達成してないじゃないですか…なのに…死ぬなんて、あなたは諦めてしまったのですか?
私の視界がぼやけ始める…いつの間にか歩みをやめ私はその場に立ち尽くして涙を流していた。

『なぁ、ヒヨッコ…ボクと一緒に来てくれてありがとう…お前は強い奴だよ…しっかり生きろよ…ボクは〈死神〉だ…またいつか会えるよ…だから、それまでにはヒヨッコ卒業しとけよ!』アールの最後の言葉が私の頭の中を過ぎる。
そして『元気でな!』の時のアールの表情は仮面の下でも分かる…私の隣で見せるいつもよりとても綺麗な笑顔だった。

私は瓦礫の上で寝転がり空を見ていた…雲ひとつないに晴れた空だ…その空を真っ白い鷹が飛んでいた。
…綺麗な空に…真っ白い鷹…こんな空をアールに見せたかったな…
私はゆっくりと目を閉じた。

「お主、ここで何をしているのだね?」私の隣から低い男性の声がした。
「あ、すいません…ちょっと考え事を…あ、あなた…は…」私は身体を起こし声の主を見て息を飲んだ。
私の隣にいた声の主は〈雷と天空を司る最高神・ゼウス〉。
…なんで、ここに…
/ 37ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp