第6章 別れ…
「ヒヨッコ…お~い~」その朝はアールに揺さぶられて起きた。
「ん~おはようございます…アール…」私はあくびと伸びをして布団から出た。…宿屋だから布団の寝心地はまぁまぁだったな…そんなことを考えながら私は顔を洗っていた。
私は朝食を食べ終わるとアールについて行った。
「アールは寝たんですか?」私は何気ない会話を持ち込んだ。
「ボクは寝ても寝なくても変わらないよ?あ、でも爆睡の時は1週間起きないな~」アールの膝まである長い髪が風になびいた。…爆睡…動物で言うとこの冬眠かな?と私は考えた。
あれこれとそうこうしているうちにサンノ村の山…サント山の頂点にある夢の神…〈オネイロス〉の神殿に着いた。
「さてと…神殺しと行きますか…」アールは影から黒い仮面とフード付きマントを身につけると階段をのぼりだした。
コツ…コツ…私とアールが階段を上っている音しかしない。その階段を上っている途中柱の所々になにか白い箱の様なものが貼り付けられていたのを私は見逃さなかった。
「良く来たな…死に損ないの〈死神アール・カゲノ〉!俺の兄弟を殺した化け物!」凛々しい男性の声が私とアールの耳に入る。
…あれが…〈夢の神オネイロス〉…〈ヒュプノス〉、〈タナトス〉の兄弟…私はアールの方に目を向けた。
「はいはい、化け物ですよ~それがどうした?神のお前らも化け物同然だろw」挑発するアール。
「てんめぇ…今ここで粉にしてやる!」怒る〈オネイロス〉から白い光が溢れ出る、その光は巨大な剣の形になっていく。あれがオネイロスの《神器・ソードリーム》…夢が具現化した剣…夢、現実両方を切り裂くと言われる剣…私の目は《ソードリーム》に釘付けだった。
「その眼とその命…ボクが貰うよ…」アールはそう言うと影から神器を取り出して〈オネイロス〉に飛びかかった。
ガンッ!キンッ!切り裂き合う音と砂煙が私の周りで飛び交う。
ドガンッ!なにかが壁に投げられる音がした。
「アール!」私はその音の方に目を向けた…〈オネイロス〉が壁に投げつけられていたのだ。
〈オネイロス〉の姿は先程とは大違いで身体中傷だらけで服は血で赤く染っている。
「ハァ…この俺が…」〈オネイロス〉は立ち上がろうとする…そこにアールが来て鎌を〈オネイロス〉の腹部に刺し込む。「グアァアァ!」オネイロスの激痛に苦しむ声が耳に入る。
「さて…眼を貰おうか…」