第3章 闇の世界
はぁ…ボクはため息をつきながら歩いていた。
「Do you want any flowers?」
突然話しかけられてボクは少し驚きながらそちらを見た。
…子供が花を売っている…闇の世界でこの光景は普通だ…
「Do you want flowers?」
ボクは聴いたことない外来の言葉に少し戸惑っていた。
「Buy flowers」
…この子供…親に捨てられたな…服がものすごくボロい。
「Buy flowers!」
ボクに花を突き出してきた…
「え?!あ…う~ん…」ボクは子供の前にしゃがんだ。
「Can you buy some flowers?」
…この子供の売っている花は…人間界のコスモス、薔薇、向日葵、ゆりの花…闇の世界ではかなり珍しい…
「君…名前は?」ボクは子供の頭を撫でながら聞いた。
「Name?」子供はボクの言葉が分かったみたいだ。
「そう、Name!」ボクはなれない外来語を少し使ってみた。
「ワタシ…ノ、ナマエハ…アン。」子供はボクと同じ言葉を使った。
「君、ボクの言葉分かるの?喋れるの?」ボクはアンの顔を覗き込んだ。
「ス、スコシ…ハナセル、ムズカシイ。」アンはまゆを八の字にして笑った。
…アンが心配だな…親代わりになれそうな人探すか…
「君、ボクと一緒に来ない?」ボクは立ち上がった。
アンは少しキョトンとしていた。
「君の親代わりを探したいんだ!いいかな?」ボクはアンに微笑んだ。
「Looking for parents?」アンは再び外来語で話した。
「えっと…親探すの?でいいのかな?」ボクは首を少し傾げた。
「ソウ…デス!」アンはボクの手を握ろうとした。
…ハッ! ボクは急いでアンの手を避けた。
「What's the matter?」アンは少しキョトンとした。
「ご、ごめん…ボクの手は握らないほうがいいよ?」ボクはアンの頭を撫でながら言った。
「ワカッタ…」アンは納得してボクの横を歩き始めた。
…ボクがどうしてアンの手を避けたか?
ボクは触れるけど闇の住人はボクの肌に触れると何かに刺されたかのように痛くなる。
アンは闇の住人だから危ない…ボクがレザースーツを着ている理由の一つがそれだ…
闇の住人がボクに触れないのはボクの体の特性なのだ…
「How do you look for parents?」アンが聞いてきた。
「う~ん…友達に聞く」