第3章 闇の世界
「ヒヨッコはボクの人間じゃない!ヒヨッコは…他の奴の人間と違う!」ボクはスレイブの服の襟を掴んでそう言った。
「わ、悪かった、アールさん!」スレイブはボクの眼から視線を逸らした。
ボクはスレイブの襟を離すと店の二階にある空き部屋に歩いた。
…ボクがどうしてああ言ったか…だって?
ヒヨッコは他の奴と違う…優しいしボクと一緒にいてくれる…ボクはいつからあんな感情を…?
ガチャ
はぁ…この空き部屋は本当にボク好みだな~
さて、今日はもう寝よ……ん、鏡?
ボクは部屋の壁にかけてある鏡の中の自分を見て、影を鏡の中に流した…
…アハッ、ヒヨッコは元気みたいだな…おっちゃんも元気だな…
影を鏡の中に流すとボクの見たい物や人が見れる。
…おっちゃん、ボクがいない間ヒヨッコを頼むぞ…
ボクは最後に鏡に軽く触れてから部屋の中にあるベッドに寝転がって目を閉じた…。
【…ろ……げろ…にげ、ろ……逃げろ!アール、お前だけでも生き延びろ、裁きから…逃げろ!】
「マヤカ…裁きからは逃げれないんだよ…マヤカも一緒に、ボクと逃げよ!」
【逃げろ!アール、俺は助からない!だからー。】
「マヤカァァァ!いやぁぁぁぁぁ!!」 スルスルッ
ズドォォォォン!!
【ほぉ、我の裁きを受けても生きていたとは…お前が気に入った、神の力と神の座をやろう…喜べ、《白髪赤眼族》の者…ハッハッハッ】
「ぁあ…あ、あぁぁぁぁぁあああぁぁぁ!!」
「あぁぁぁぁぁ…ゆ、夢か……なんで、マヤカの…裁きの時の夢を…」ボクは額から流れる汗を拭いながら身体を起こした…マヤカが死ぬ前にボクは影を使ったから生き残れた…あの時影を…「ッ…はぁ…」ボクは強く拳を握りベッドを殴った…どうして、ボクは影をマヤカに…なんであの時影はボクだけを、マヤカも守れよ!悔しい…そんな言葉がボクの頭の中を駆け巡る…
…後悔していても意味が無い…〈ゼウス〉を殺すしかない…って、まだ真夜中だし~もっかい寝るか~…ボクはもう一度寝転がって目を閉じた。