第2章 オーケアノスの神殿
ギィィッ 最上階の扉が鈍い音を立てながら開いた…恐らく扉は潮風で少し錆び付いているのだろう。
「ようやく、吾の神殿…〈オーケアノスの神殿〉の最上階に来たようだな…〈死神アール〉殿よ。」青白い髪の毛の人が王座の様な椅子に腰を掛けながらこちらに話しかけ始めた…間違いない、あれは〈オーケアノス〉だ。
「随分と遅かったではないか〈死神〉さん…童女の娘を随分派手にやってくれたようだしな。」若い黒髪の女性が〈オーケアノス〉の横からこちらに話しかける…あれは、〈エーレクトラー〉結構美人だ。
「いや~あんたの娘結構タフだよ~〈エーレクトラー〉よ~そのタフな娘を殺ってたから遅れたんですわ~〈オーケアノス〉おじいちゃん」まるで相手を小馬鹿にするような口振りでアールは仮面を付けていない顔でニタァっと笑う…また、アールはあの笑顔になった。
「フンッ…我が娘〈エーレクトラー〉よ、吾のためにあの〈死神〉をここで討ちとれ。」椅子に座りながら〈エーレクトラー〉に指示を下す〈オーケアノス〉。
「童女におまかせください…父上様。」そう返事をして海の色をした槍を突然何処からか取り出した〈エーレクトラー〉はこちらに歩き始めた。
「さぁ、〈死神〉童女の娘〈イーリス〉を殺したこと後悔させてやる!」
「ヒヨッコはとりあえずボクのマント付けてから隠れな。」アールはそう言って私に身に付けていたマントを渡した。
「なんで…マントですか?」私は少し不思議に思いながら質問する。
「そのマントは君を守ってくれるから」アールはいつも私に見せる優しい笑顔を向けながらそう答えてくれた。
「わかった…」私はマントを身に付けすぐアールの側から離れ〈神殿〉の柱に隠れた。
「さて、ヒヨッコも隠れたから始めるか〈エーレクトラー〉」アールは手を少し横に出すと影からアールの《神器》が出てきた。
「童女を簡単に倒せると思うなよ〈死神〉」槍を構えた〈エーレクトラー〉がアールに襲いかかる。
「思わねぇ~よ!」不気味な笑が再びアールの顔に蘇る。
ギンッギチギチ 刃と刃がぶつかり合う。
「やっぱ~鎌だと厳しいか…って危ないな~」ギリギリ〈エーレクトラー〉の槍を避けるアール。
「戦闘中にブツブツ独り言とは余裕よな!」更に槍を振り回す〈エーレクトラー〉。
「とりあえず、鎌を別の武器に変更だな…」そう言ってアールは鎌を〈エーレクトラー〉にぶん投げた。