第2章 オーケアノスの神殿
「まっ…」 ザシュッ 〈イーリス〉の言葉は途中で途切れ首が宙を舞う…《巨大チェーンソー》が〈イーリス〉の首を飛ばしたのだ。
「アール…なんで…殺したの…?」私は震えた声でアールに問いかけた。
アールは返り血だらけの姿で私を見ながら答えた。
「なんでって、こいつを殺しとかないと〈オーケアノス〉を殺る時母親の〈エーレクトラー〉と一緒に邪魔しに来るから」
「でも…!」私は言いかけた言葉を呑み込んだ…アールが飛んでいった〈イーリス〉の首を拾い上げていたからだ…アールは首を自分の顔の高さまで持っていくとー。
「ヒヨッコ~これ、見てみろ」そう言って私に首を見せた、〈イーリス〉の首は目を開けたままになっていた…気持ち悪い…私はそう思いながらも首を見た。
「…瞳が、虹色…」私はそう言ってアールを見るとアールは小刀を自分の影から取り出した。
「こいつの目は綺麗だろ~だから、闇武器屋で《イーリスの瞳》を欲しがるやつがいるんだ~そいつにこの目を渡したらボクに新しい武器を作ってくれるって言ってたんだ、こいつを殺した二つ目の理由はそれ」アールはそれを言い終わると手に持っていた小刀で〈イーリス〉の目の周りを突き刺し瞳を傷つけないように丁寧に取り出した…「ゔっ…」私はその光景を見ていて吐き気が湧き上がった。
ズブッブチッ 両目を取り出し終えたアールは首を床に捨てその両目を自分の影の中に放り込む。
「さて、ヒヨッコ最上階にいる〈オーケアノス〉とその娘〈エーレクトラー〉に挨拶しに行くか~」呑気に喋りながら歩き始めるアール。
「うん…」吐き気を我慢しながら私はアールの後を追うように歩く。
カツッ コツッ 階段を上がる音しかしない…
「アールさ、〈オーケアノス〉を殺せば残る神は九人って言ったよね?【オリュンポス十二神】は含めたの?」私が質問すると背中を向けたままアールは答えた。
「【オリュンポス十二神】は含めてない。【オリュンポス】への道にいる神の数が残り九人ってだけ。」
「私も最初は残る神は九人かと思ってたけどさ、今改めて考えたら…【オリュンポス十二神】がまだいるんだよ…だから、九人はおかしいってなったの」
【オリュンポス十二神】《ゼウス、ヘーラー、アテーナー、アポローン、アプロディーテー、アレース、アルテミス、デーメーテール、ヘーパイストス、ヘルメース、ポセイドーン、ヘスティアー》