第5章 【SS】武装探偵社入社試験
治ちゃんは私が目覚めた事を
皆に知らせに行った。
「怪我の調子はどうだい?葉琉。
……何だい。もう治ッちまったのかい。
もう一回くらい解体できると
思ってたんだけどねぇ」
与謝野先生は私の身体を彼方此方確認した。
(ん?解体…?)
「与謝野先生の能力は、重傷の人間を治す事が出来るよだよ」
与謝野先生の後ろからやってきた治ちゃんが説明してくれた。
「私、そんなに重傷だったんですか!?」
「子供達は軽症だったけど
葉琉は無茶な能力の発動の所為か
臓器に影響があったようでね」
「重傷、では無かったが
余りにも心配する奴がいたンでね。
勝手に重傷にして直させて貰ったよ」
与謝野先生はニヤリと笑った。
(重傷にした…?駄目だ深く考えるのはやめよう)
後日、とある別の事件で
国木田君の治療現場に遭遇してからは
決して怪我だけはしないと誓ったのは
また、別のお話。
「萩原。調子はどうだ?」
国木田君が入ってきた。
「もう大丈夫そうです」
「そうか。
お前な、どれだけ皆に心配をかければ
気がすむんだ!
敵の異能力にかかり行方不明になる!
と、思ったら爆発にまきこまれる!」
国木田君は諄々と説教を始めた。
私は目を点にして聞いていた。
あれーーこの感じ前にも
あぁ、そうだ。
私が敵組織の偉い奴ぶっ飛ばした時。
「国木田君」
国木田君の説教を遮る様に
私は名前を呼んだ。
「有難う。心配してくれて。
それと、萩原じゃなくて
名前で呼んで欲しいの。
苗字で呼ばれるの慣れてなくて。
皆さんにもそう伝えて」
そう言って微笑むと
国木田君は少し頰を赤らめて
「早く治して仕事しろ!」と言って
出て行った。
「何だい?ありゃァ」
与謝野先生は呆れながら笑っていた。
「やっぱ狡い!国木田君だけ狡い!」
治ちゃんはぷりぷり怒っていた。
「与謝野先生も、治ちゃんも
有難うございます」
二人にお礼を告げると
二人共、笑って返してくれた。