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明るみの花【文豪ストレイドッグス】

第5章 【SS】武装探偵社入社試験


目を開けると、其処は知らない場所だった。
私は勢い良く起き上がった。

「此処…どこ?
何で私こんな所に…?」

辺りを見渡すと
少し離れた所に
子供が三人、眠っていた。

(この子達って、行方不明になってる子達!?)

私は一人ずつ揺さぶって起こした。

「みんな、大丈夫?」

子供達はまだ頭がぼーっとするせいなのか
虚ろな目で頷いた。

「早く此処からでなきゃ!
皆んな、立てる?」

私の言葉を聞いて、三人は立ち上がった。
その時だった。

バンッーー

乾いた発砲音が響いた。

「ーーッ!」

私は膝を付いた。
右脚をみると、太腿あたりから血が滲んでいた。
発砲音の鳴った方をみると
其処には阿部医師が立っていた。

「貴方は…」

「私の催眠術を自力で解いた子は初めてだよ。
しかし、此処から逃げられては困るんだよ」

医師は私達の逃げ道を塞ぐように
一つの爆弾を置いた。

「せめて、死んで私の罪を無かったことにしておくれ」

ニヤリと笑うとスイッチを押して
去って行った。

「待て!ーッ!」

異能力を使いたくても
痛みで集中できず、氷が出ない。

爆弾は何時爆破しても可笑しくない。
私は子供達を連れて、出口と反対側に
出来るだけ早く移動した。
しかし、たどり着いたのは壁だった。
爆弾までの距離は、凡そ二百米。

(あぁ、終わった。私、死ぬんだ)

一緒にいた子供達を抱きしめた。
すると、一番小さい子が
泣き出した。

「お兄ちゃん。
此処どこ?私、帰りたいよ」

「大丈夫だ!お兄ちゃんが守ってやる!」

まだ現状を理解出来ていない幼い妹を
必死に守ろうとしている兄。

(…私、何諦めてるんだろ)

「皆んな!端に寄って!」

私の言葉で子供達は角に集まった。

(私に出来るだろうか。否、やるしかない)

私は床に両手を付いた。

(何度も試した。一度も成功しなかった。
だけど、今度こそは。今回だけはーー)

脚の痛みを忘れ集中した。

(お姉ちゃん……私に力を貸して)

その瞬間、大きな爆弾と共に
建物は崩れた。
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