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明るみの花【文豪ストレイドッグス】

第5章 【SS】武装探偵社入社試験


ーー探偵社事務所

「如何云うこと!?」

私は声を荒げた。

「だから、葉琉達が助けた子供達の中に
失踪事件の被害者はいなかったのだよ」

治ちゃんが市警から貰った資料に目を通しながら言った。

「つまり、まだ事件は解決していないのか?」

国木田君も驚いていた。
その時ーー

「あーっはっはっは!悩んでるねぇ、君達!」

「乱歩さん!与謝野先生!」

電話で言っていた『乱歩さん』とは彼のことだろう。
如何にもな探偵っぽい服装だ。
隣にはブラウスに黒のスカートを合わせた
綺麗な女性が立っていた。

「何だい?見ない顔がいるじゃないか」

女性は私に歩み寄ってきた。
私の腕の傷に気がつくとニンマリと笑った。
何故だかとても悪寒がした。

「与謝野先生、彼女は今日から入った新人ですよ」

治ちゃんは私と与謝野先生と呼ばれる女性の間に割って入ってきた。
気のせいだろうか。いま舌打ちが聞こえた気がしたが
あまり考えるのをやめた。

「改めまして、萩原葉琉といいます!
よろしくお願いします!」

私は乱歩さんと与謝野先生に挨拶をした。

「妾は此の探偵社の専属医、与謝野だ。
怪我したら直ぐに来な。直してやるよ」

何故か不敵な笑みで笑っている与謝野先生。

「僕は名探偵の江戸川乱歩だ。君も僕の為に事件を見付けてね」

凄い自己ちゅ、否、自身に満ちている表情の乱歩さん。

簡単な挨拶を終えた時
乱歩さんは治ちゃんの持っていた資料を覗き込んだ。

「悩んでたのはこれ?」

「はい…一度は解決したと思われたのですが
如何も違うようで」

国木田君が答えた。

「俺達が解放した子供たちは
孤児でした。
たぶん、スラム街から拾ってきたのでしょう。
ですが、行方不明になっているのは
皆、両親共にいる子供達です」

乱歩さんは興味がなさそうに「ふーん」と答えた。

「………違和感の正体は此れだったのか」

治ちゃんは静かに呟くと
また資料に目を落とした。

「乱歩さん!力を貸して頂けませんか!?」

「やだ」

国木田君の頼みを軽く流す乱歩さん。

「お願いします!乱歩さん!
乱歩さんの力が必要なんです!

国木田君は食い下がらずに説得を続けた。
だがこの日、乱歩さんが首を縦に振ることはなかった。
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