第5章 【SS】武装探偵社入社試験
辿り着いた奥の部屋。
其処には檻に入れられた数名の子供達がいた。
逃げた男は、その子供達に拳銃を向けていた。
「やめて!」
氷の礫が拳銃を弾き飛ばした。
男は怯えた表情で後退る。
「す、すまなかった!
もうしない!子供達も返す!」
私は構えを解いた。
一瞬だった。
二年前ならこんな油断もしなかった。
男は持っていた刃物を持って突進して来た。
「ーーッ!」
あぁ、私ほんと莫迦だな。
攻撃はギリギリ避けられた。
しかし、右の腕から血が流れている。
(掠ったか)
男は振り返り、もう一度突進してきた。
ヒラリと躱し、背中に回し蹴りを食らわせた。
男は白目を剥いて倒れた。
「萩原!」
国木田君が部屋に飛び込んできた。
「国木田君。何とか倒せましたよ」
国木田君は倒れている男と
囚われている子供達を確認した。
そして、私の腕から流れている血を見ると言った。
「何でこんな無茶をした!
この程度の怪我で済んだからいいが
独断先行が過ぎるぞ!」
私はきょとんとしていた。
何故怒られたか判らなかった。
如何に任務を迅速に遂行するか。
其れしか知らなかった。
しかし、いま言わなければならない言葉はわかった。
「……ごめんなさい」
しゅんとしている私に
国木田君はこれ以上何も言わなかった。
この後、国木田君が呼んだ市警が到着し
組織の人間は逮捕。
子供達も解放された。