第5章 【SS】武装探偵社入社試験
国木田君は事務所に戻ってきて直ぐに
私の方へ来た。
「自己紹介がまだだったな。
国木田独歩だ。何かあれば聞いてくれ」
「よろしくお願いします。国木田君」
ピクリと目が動いたが、国木田君はそのまま何も言わなかった。
「早速だが、これから調査を行う。
『未成年者連続失踪事件』についてだ。
……太宰!うろちょろするな!
自分の仕事を片付けろ!」
私と国木田君の周りをちょろちょろしていた治ちゃんは
国木田君に怒られてぶーぶー言いながら席へ戻って行った。
私は国木田君から
詳しい事件の内容を聞いた。
1ヶ月前から次々に子供が行方不明になっているそうだ。
最初は六歳の男の子。
次は同時に二人、十二歳の兄と五歳の妹。
合計三人が行方不明になっていた。
三人には共通点が二つあり、
一つは三人とも、夜中に歩いている姿が目撃されていた。
誘拐、というよりは自分で失踪したようだった。
しかし、三人には此れといった失踪理由はなかった。
市警は、異能力者が関わっている事件なのではと考え
この武装探偵社に依頼したそうだ。