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明るみの花【文豪ストレイドッグス】

第4章 黒の時代(終章)


ーーー二週間後


私達は名前の刻まれていない墓標の前にいた。
治ちゃんは白い花束と、一枚の写真を墓標の前に置いた。

私達は暫く、その場から動かなかった。


















横浜の歓楽街。
賑やかな安呑み屋の卓席に
白髪で大柄の男が座っていた。
渋い顔で独り、猪口の酒を飲んでいた。

「内務省の重鎮がこんな安酒場で独り手酌とは…
寂しい限りですねぇ、種田長官」

突然向かいの席に座った青年の声に、種田は驚いて顔を上げた。
その青年の横には、まだ幼さが残る少女が座っていた。

「君達は…」

「お注ぎしましょう」

少女が銚子を傾けて猪口に酒を注いだ。
種田はそれを受け、一気に飲み干してから
青年、太宰治と少女、萩原葉琉をジロリとみた。

「君達は暫く組織から行方を眩ませとった筈だが
…何の用かな?」

「転職先を探してましてね。
何処かお勧めはありませんかね?」

種田は驚いた顔で私達をみた。
私達はにっこりと笑っている。

「何が希望だ?」

「人助けが出来るところ」

治ちゃんは即答した。
種田は治ちゃんを見つめた。

「其処の彼女はまだしも、
君の経歴は汚れ過ぎとる。
洗うためには二年ほど地下に潜る必要があるぞ。
だがまあ…心当たりがないでもない」

「伺いましょう」

「異能力者を集めた武装組織だ。
軍警や市警に頼れぬ、灰色の厄介ごとを引き受け解決する。
そこの社長は心ある男でな。
君達の希望に沿うかもしれん」

私達は目を合わせ、互いに頷きあった。




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