第4章 黒の時代(終章)
ドスッーー
一人目の狙撃手を無力化した。
殺しはしていない。
気絶させただけだった。
治ちゃんは楽しそうに
倒れている狙撃手をテープでぐるぐる巻いていた。
二人目の狙撃手も無力化し
次は地上に居る奴らだ。
私は治ちゃんを屋上に残して
地上に降りた。
そして、三人の見張りを素早く気絶させた。
屋上に戻ると
「お見事」と、手を叩いている治ちゃんがいた。
「有難う」と返し、侵入予定のマンションをみた。
そこは、昨日まで私が住んでいた場所だった。
「どうして自分の家に帰るのに
こんな苦労しなきゃなんないの!」
私はむすっとした。
「私達は謂わば脱走兵だ。
裏切り者にはそれなりの罠や追っ手が付き物なのだよ」
治ちゃんは笑いながら言った。
なんだか楽しそうだ。
はぁ、と小さい溜息をついて
一気にマンションのバルコニーまで飛んだ。