第3章 黒の時代(本章)
「やぁ、目覚めたかい織田作。気分は?」
病室に入るなら明るい顔で尋ねる治ちゃん。
「織田作!無事でよかったよー!」
私も後に続いて織田作を労った。
「向こう五十年の二日酔いを
まとめて受け取っている気分だ」
と織田作はいった。
その後、織田作が倒れた現場での話と
織田作が寝ていた間の話を伝えた。
織田作は寝台を降りた。
「織田作!まさか行く気なの!?」
私は慌てて尋ねた。
「マフィアの全戦力を以って迎撃するんだろ?」
そう言いながら壁に掛けてあった外套に袖を通している。
「織田作は抗争なんて興味ないと思っていたよ」
治ちゃんは笑顔で言った。
「ない」
と織田作はハーネスを付けながら答えた。
「だが、小さな事が
胸をチクチク刺す事もある。
二人の人間に借りを作っていることとか」
織田作はそう言い残し、扉をあけて部屋を出て行った。
治ちゃんはそれを
何も言わずに見送っていた。