第3章 黒の時代(本章)
まだ陽の高い時間
私と治ちゃんは
とある洋食屋の前に来ていた。
看板には【フリイダム】とある。
「本当にここに織田作いるの?」
「いるさ。
こういう時の私の勘は外れない。
…知っていると思うけど」
治ちゃんは笑いながら「行こう」と言って中に入った。
私も後に続いた。
カウンターテーブルに着くなり
咖哩を二つ頼んだ。
何故か店の上からは
ドタドタと大きな音がしている。
「ごめんねぇ。
直ぐ終わると思うから
気にしないで」
店主のおじさんが咖哩の準備をしながら私達に言った。
治ちゃんは「大丈夫ですよー」と笑っていた。
その後直ぐ、咖哩が二つ出てきた。
「「頂きます」」と二人で食べ始めた。
「ん!美味しい!
おじさん!この咖哩美味しいよ!」
私がそう言うと治ちゃんが
「辛っ!辛いよおじさん、これ辛い!
隠し味に溶岩でも入ってるの!?」
と、ハフハフしながら言っている。
「ははは、そうかい?
おかえり、織田作ちゃん。
子ども達はどうだった?」
店主の視線の先には
私達が探していた
織田作本人がいた。
気が付いたら二階の物音は静かになっていた。
「際どかったが
今回も敗北は防いだ」
織田作は店主に返事をすると
私達に視線を向けた。
「やぁ、織田作」/「お邪魔してまーす」
私達はヒラヒラと手を振った。
「聞いたよ織田作。
龍頭構想で親を失った孤児を養ってるんだって?」
織田作は静かに「そうだ」と答えた。
「それで太宰、葉琉はここで何してるんだ?」
織田作は尋ねた。
「織田作に例の件の報告をと思ってね。
あれから色々判ったよ。
特に敵について」