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明るみの花【文豪ストレイドッグス】

第3章 黒の時代(本章)


治ちゃんは織田作に
ミミックについて判っている事を話した。
織田作も、安吾の部屋でのことや
見つけた金庫のことを話した。

「鍵がなくて開かない。
中身がわかれば何かの手がかりにー」

「なんだ。そんなこと?」

治ちゃんが笑った。

「葉琉ちゃん。ピン貸して」

治ちゃんに言われポケットから取り出したピンを渡す。

「どれどれ」と織田作から金庫を受け取り
ピンを器用に使い鍵穴を弄り始めた。
直ぐにカチッという何かが開いた音が聞こえた。

「はい開いた。
ーーさて、中身は何かな」

治ちゃんが蓋を開けて中を覗き込んだ。
私の所からもそれが見えた。

金庫の中にあったのは
灰色の旧式拳銃だった。

「何故だ?」織田作が呟く。

私も治ちゃんに
先刻の話を確認する。

「治ちゃんはこの銃を徽章といったよね?
これは一体……」

この先の言葉は詰まってしまった。
治ちゃんは直ぐには答えず
ただ、虚空を睨んでいた。

「これだけでは何とも言えない」

治ちゃんは慎重に言った。
織田作もそれに続いた。

「確かに、未だ情報が足りない。
拳銃についてはもう少し調べる。
手間をかけたな」

「織田作」

治ちゃんが何かを言いかけたが
織田作が遮った。

「助けて貰って感謝している。
だがこの件はもう少し俺が調べるべきだ。
何か情報が入ればまた教える」

治ちゃんは黙って織田作を見ていた。

「……なら一つ、気づいた事を教えるよ」治ちゃんは言った。

「なぁ、織田作。
昨日、酒場で呑んでいたとき
安吾は仕事で取引をした帰りだと言っていただろう?」

「そうだな」と織田作は答えた。

「あれはたぶん嘘だよ」

治ちゃんは続けた。
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