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明るみの花【文豪ストレイドッグス】

第3章 黒の時代(本章)


「葉琉ちゃん。
君の見解は?」

治ちゃんは私を試すように尋ねた。

「弾痕は貫通してる。
この数で貫通してるってことは
近距離からの短機関銃
じゃないかな?」

私の答えに満足そうに笑った治ちゃんは
更に続けた。

「この距離まで気付かれずに近付くとは
可也の手際だ。…期待させてくれるね」

治ちゃんはゲーム画面を見下ろしていた広津さんに
「倉庫の監視映像は?」と尋ねた。
広津さんは私にゲームを返し
監視映像を持ってきた。

その写真には
侵入した数名の男と
ポートマフィアが所蔵する銃火器を運び出している様子が映っていた。
私も一緒に覗き込んだ。

「この人たち
相当訓練されてるね。
死角を消すような陣形で歩いてる」

治ちゃんは薄く笑いながら「兵だね」と言った。

ふと襲撃者が身につけている拳銃を指し

「広津さん、この銃判る?」

と尋ねた。

「古い型式ですな。
灰色の銃身と細い発射口からして
"グラオガイスト"とも呼ばれた
欧州の旧式拳銃のようですが」

私も治ちゃんも
多分同じことを思っているだろう、
治ちゃんは目を細めて言った。

「私達この銃、昨日みたよ」

「と、いうことは
武器庫襲撃の犯人達は
直前に私達を襲ったってことだよね」

私の言葉に
治ちゃんは楽しそうに笑った。

「陽動か。
予想よりずっと愉快な連中だよ
此奴等は」

写真を持ったまま
治ちゃんはくるりと背を向けて歩き始めた。
ぶつぶつと沈思黙考に入った。
その様子を私も部下たちも
黙って待つしかなかった。
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