第14章 【SS】慰安旅行
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「全員乗った様です、社長」
バスの中で点呼をとった国木田が社長に報告し、バスは来た時と同じ道を辿りヨコハマへ向けて出発した。
「えー…寮に戻るまでが慰安旅行です。最後まで気を抜かず…」
「国木田ァ、お菓子なーい」
「葉琉、彼処に良い川があるよ。心中でも…」
「楽しかったねぇ、鏡花ちゃん」
「うん」
「あ、あの、葉琉さん。太宰さんが話し掛けてますが…」
「いいの。心中が如何とかでしょ?」
「ナ、ナオミ!そんな処……ぁぁああ!」
「賢治、また寝ちまうのかい?」
「朝御飯いっぱい食べたら眠くて……」
誰も国木田の話を聞かず、各々好き勝手に話し出す。国木田はわなわなと震えるも二日酔いの為かぐったりと席に戻り、撃沈した様に眠り出す。
「乱歩さん、これ余りですがどーぞ」
「気がきくねえ、葉琉ちゃん」
葉琉がお菓子を渡すと乱歩は再びお菓子を食べ出した。
太宰はねぇねぇ聞いてよーと葉琉を引っ張るがあーはいはいと聞き流される。
葉琉は敦、鏡花とお喋りを楽しんでいた。
こうして、武装探偵社の慰安旅行は無事に終了した。
【慰安旅行】完