第14章 【SS】慰安旅行
ーーおまけーー
「「ただいまー」」
葉琉は重なった声の主に視線を向けた。
「此処は私の部屋だよ。治ちゃんは隣」
「また夕飯食べに来るのだから、変わらないよ」
にっこりと笑い葉琉より先に部屋に上がる。葉琉も小さい溜息を吐き、太宰の後に続いた。
「そうだ。コレ、葉琉にお土産」
太宰から紙袋を手渡される。
「お土産って……私も一緒に旅行行ったんだけど」
そう言いつつも紙袋からお土産を取り出すと、葉琉の表情は一変し笑顔になった。葉琉が取り出したのはお土産屋さんにあった栗羊羹だ。
「いいの!?」
「うん。お食べ」
「やったー!」
葉琉は太宰に飛び付き「有難う!」と告げる。太宰はぽんぽんと頭を撫で「どういたしまして」と応えた。
「コレ、夕食後に食べよう!」
「佳い案だね」
「そうと決まれば夕食も奮発しちゃおう。あと、羊羹にお酒も!」
帰ってきたばかりの葉琉は直ぐにお出かけの準備をする。
「ほら、治ちゃん!買い出し行くよ」
笑っている太宰の腕を引っ張って二人は部屋を出た。
ーー終ーー