第14章 【SS】慰安旅行
「……如何したの?治ちゃん」
葉琉がぽんぽんと頭を撫でると太宰はその手を握り「もう少し、このままでいたい」と告げる。
葉琉は太宰の言う通り暫く太宰の頭を撫でていた。
どれだけ時間が経ったか判らないが、太宰が漸く顔を上げた。
「もう、いいの?」
太宰の表情は先刻迄とは違い、元の剽軽な表情に戻っていた。
「ごめんよ、葉琉」
優しく微笑む太宰に葉琉は「仕様がないなぁ」と笑い返す。太宰は立ち上がり、戻ろうと手を出してきた。葉琉はその手を取り、一緒に歩き始めた。
ーー葉琉を守る為なら、私は何だってするよ
あの時中也に言い放った言葉が太宰の中で響くのと同時に、一つの決心へと繋がった。