第14章 【SS】慰安旅行
バスは無事、旅館へ到着した。社長は女将に挨拶に行ってしまい、その間ロビーで待つことになった。
「国木田くーん。部屋は皆バラバラなのかい?」と尋ねる太宰に国木田は「男性陣で一部屋、女性陣で一部屋だ」と答えた。
「えぇー葉琉と同じ部屋が良いー」
葉琉を後ろから抱き締め乍、太宰は唇を尖らせた。勿論、葉琉は無視である。
「黙れ、この迷惑噴霧器!」
「私も兄様と同じお布団で眠りたいですわぁ」
「ナ、ナオミ、何処触ってっ…ぁぁああ!」
「お前達もこんな処で止せ!」
「国木田君、早く海行きたーい」
「葉琉はもう少し待て!」
「国木田ァ、お菓子無くなったー」
「乱歩さん、もう少し控えて下さい」
まるで修学旅行の先生と生徒の気分だ。暫く待つと社長が戻り、各自部屋へ通された。国木田の言う通り男性陣で一部屋、女性陣で一部屋の大人数用和室だった。部屋に着いてからは自由行動だった為、社長と乱歩は街の散策に出るらしく、残りは皆で海へ行く事にした。
葉琉達は部屋へ入ると、早速水着に着替える。
「与謝野先生、素敵ですわぁ!」
ナオミが与謝野の水着姿に目を輝かせ、鏡花と葉琉は頷いた。与謝野は上下白のビキニに腰から赤のパレオを巻いていた。
「何だか慣れないねェ」
与謝野はくるりと回りながら自分の姿を確認する。
ナオミは襞が沢山付いた黄色のビキニだ。下はスカートになっている。葉琉は上下ボーダー柄のビキニに下にはジーンズ生地のショートパンツを履いていた。鏡花は白地に茶色の水玉があしらわれ、茶色の襞の付いたワンピースタイプだ。
与謝野はレースカーディガンを、ナオミと鏡花はパーカーを、葉琉はTシャツを着て部屋を出た。