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明るみの花【文豪ストレイドッグス】

第12章 双つの黒と花の役割


暫くは本を読み葉月が起きるのを待っていたが、気が付くとまた寝台の上で眠っていた。辺りはすっかり暗くなっている。勢い良く起き上がり周りを見回す。

「葉月?」

返事はない。寝台には葉琉だけだった。寝台から降り、葉月を探す為部屋をでた。

事務所、医務室、姐さんの部屋…何処も鍵がかけられ葉月は居そうにない。帰ったのかと思い、最後に屋上に向かった。閉まっている筈の扉が開いていた。
そっと覗くと其処には太宰と葉月の姿が在った。其の儘階段を降りようとした時「葉琉、起きたのかい?」という太宰の声が聞こえた。声の方へ振り向くと先刻まで背を向けて話していた二人が此方を見ていた。葉琉は諦めたように二人の元へ向かった。

「躰は大丈夫かい?」

「大丈夫」

「私が起きるまで待っててくれたんだね。有難う」

「どういたしまして」

太宰と葉月は顔を見合わせた。そしてふふっと笑い合った。

「何か可笑しい事でも?」面白く無さそうに尋ねる葉琉に葉月は「何でもないよ」と笑っていた。太宰も「本当に葉琉は可愛いね」と笑っている。

「太宰さん、葉琉の事頼みますね。私は戻ります」

太宰はヒラヒラと手を振って葉月を見送った。屋上には太宰と葉琉の二人となった。
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