第11章 三組織異能力戦争
次の日は早朝から忙しかった。太宰の指示で国木田と街の至る所に卵型の機械を設置した。これは何かと国木田に尋ねると、とても細かく説明してくれた為結局よく判らなかった。だか、国木田もこれを使用する目的は聞いていないようで、取り敢えず手伝っているという様子だった。
設置も終わり探偵社に戻ろうとした時、葉琉は国木田の襟から微かに痣が見えた。
「国木田君、脱いで」
「は?」
いきなりの葉琉の言葉に国木田は後退する。葉琉は頸元を指して「ここ見せて」と強めに言った。国木田も何事かと渋々襟元を捲る。葉琉の予想は正しかった。その痣はQの詛いを受ける印だ。Qが組合に捕まった事は太宰から聞いていた。
「…まさか!」
葉琉は周りを見渡した。所々で痣が浮き出ている人たちが目に付く。
「国木田君、急いで探偵社へ戻るよ」
走り出した葉琉に国木田も付いて行った。
探偵社に着き、事務所の扉を開ける。
「治ちゃんは何処?」
急に現れた葉琉に皆目を丸くして驚いている。否、違う。皆何か不思議な物を見たような目をしていた。
「太宰さんなら屋上ですけど…葉琉さん先刻も尋ねませんでしたか?」
「…え?」
「葉琉、兎に角太宰の処へ向かうぞ」
国木田の言葉で我に帰り急いで屋上へ向かった。階段を駆け上り、勢いよく扉を開けた。其処には太宰と、自分と似ているもう一人の人物がいた。
「葉月…何してるの?」
絞り出した言葉がそれだった。葉月はゆっくりと振り返る。後から来た国木田は葉琉と葉月の顔を見比べていた。