第11章 三組織異能力戦争
治療も終わり葉琉は机に突っ伏していた。久々のアレに葉琉も精神的に病んだのだ。横で乱歩が「ご愁傷様」と同情の目を向けている。その時、社長の元に一本の電話が入った。
「私だ。…太宰か」
電話の相手は太宰の様だ。内容は判らないが何やら不穏な空気を出している。暫くすると社長は葉琉を呼んだ。葉琉は起き上がると社長の元へ行き、電話を受け取った。
「太宰からだ」
「治ちゃん?」
電話を耳に中て「もしもし?」と声を掛ける。
『やぁ葉琉。無事で何よりだよ』
余りにも場に合わない明るい声音で話し掛けてくる太宰に思わず電話を切ろうとした。
『待って待って!切らないで!』
雰囲気で察したのか電話の向こうで慌てるような声が聞こえた。
「治ちゃん、揶揄いの電話なら他を中ってくれる?まだ疲れてるんだけど」
『中也との事は聞いたよ。よく頑張ったね』
「…判ってるならそっとしておいて」
『ごめんよ。……先刻、葉月ちゃんに遭ったよ』
葉琉は息を詰まらせた。
『マフィアはとんでもない手札を切ったようだ』
「如何いう事?」
『…Qを放ったそうだ』
「え、まさか…!」
『葉月ちゃん自ら私に忠告に来てくれたよ。葉琉、Qの異能発動条件は判っているね。守勢に警戒を促して欲しい』
「治ちゃんはこれから如何するの?」
『この戦争に政府機関を引き摺り込む』
「異能特務課を!?まさか…安吾に会うの!?」
『察しが早くて助かるよ。では、其方は頼んだよ』
「一寸、治ちゃん!?」
葉琉の声は届かず、電話は切れていた。葉琉は電話を社長に返すと太宰に言われた通りQについて説明を行った。
社長も太宰との電話で新たな指示を出した。
「この拠点が公になった以上、此処にいるのは危難。撤退の準備を始める」
葉琉達は直ちに行動に移した。
その後
敦が組合に連れ去られ、鏡花が軍警に捕まったとの報が入った。
ーーそれから更に一週間が過ぎた