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明るみの花【文豪ストレイドッグス】

第11章 三組織異能力戦争


二人は攻撃を続け乍、会話をしていた。

「手前の動きはあの頃のままだ」

「それは中也も同じだよ」

「なら、この後の展開も判ってるよなァ」

葉琉の打拳を躱し、腕を掴み其の儘胴へ一撃を入れようとする。しかし、その拳は葉琉へは届かずに中也の躰は宙を回った。

「この技は初めてでしょ」

中也の躰は地面に打ち付けられる事なくしっかりと脚で着地した。葉琉は素早く背後から中也の頸に短刀を中てた。

「何を企んでるの?」

中也は葉琉の質問に答えずに顔だけで振り向いた。その表情はまるで怒っているかの様なものだった。

「拍子抜けだ。手前と遣り合っても何の愉しみもねェ」

中也の雰囲気に圧倒され後退しようとした葉琉を中也は逃さなかった。素早い蹴りが入り葉琉は其の儘隧道の壁に激突した。

「くッー!」

「葉琉!」

その様子を見たいた与謝野は葉琉に駆け寄ろうとする。だが、中也の方が先に葉琉に迫った。

「賢治!」

「はーい」

与謝野の掛け声で賢治は異能で線路を剥がし、其の儘中也に向かって振りかざした。

「気を付けて下さーい!」

中也は葉琉に辿り着く前に賢治の攻撃に気付き其れを躱す。そして、その線路を足場に賢治に詰め寄り一撃を食らわした。間髪入れずに背後から与謝野が攻撃を繰り出す。其れすらも躱し其の儘能力で天井に逆さまの状態で立っていた。

「おい葉琉、先刻は短刀を中るだけじゃなく一撃入れておくべきだ。此れは手前の選択ミスだ」

未だに壁に埋もれている葉琉に視線だけ向けて話す中也。与謝野は「いいから降りてこいよ」と怒り気味だ。同じく壁に埋もれていた賢治は、逆さに立っている中也の姿に都会の凄さを感じていた。

「手前は微温湯に浸かり過ぎた。今の手前じゃァ誰も守れねぇよ」

中也はくるりと回りながら落ちてきた。躰の質量と違い、地面には凄まじい亀裂が入った。

「さァ、次に【重力】と戦いてぇのは何方だ?」

スッと中也の前に立ったのは葉琉だ。先刻よりも研ぎ澄まされた気に中也も驚いている。葉琉の眼には光はなく、何も感じない黒が中也を捉えていた。中也はその様子に思わず笑みが零れる。
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